2004年の流行語大賞トップ10入りの「負け犬」、30代以上、非婚、子なし女性を指す言葉、その出展元がこの酒井順子著「負け犬の遠吠え」である。
内容は当事者である本人の開き直り、自虐ネタという偏見をもって読み進めれば、これがあにはからんや、それは単なる販売戦略であって、「世間」という呪縛からいかに逃れて幸福を追求するかを面白く読ませる本である。
そう、この本は面白かった。興味深く読んだというだけではなく、本当に数箇所で声を出して笑った。
女性には人生のグローバルスタンダードがある、とされている。結婚して子を生し、子育ての後にゆったりと老後を楽しむ、であろうか。オプションとしては、仕事と家庭を両立コースもあるかもしれぬ。
このコースに乗れた女性を勝ち犬、乗れなかった女性を負け犬とあえて区別することが、この本のスタートだ。
そう、勝ち負けが結論ではなく、議論の土台にすぎないのだ。だから、その区分けは赤ワイン白ワインでもゆり組バラ組でもなんでも良かった。(でも、「白ワインの味気なさ」や「バラ組みの憂鬱」ちゅうタイトルじゃ、わかりにくくて本は売れんわなあ)
じゃあ、何が結論かと言えば、このグローバルスタンダード=世間は選択肢のひとつであり、どちらを選んでも間違いではない、ということにつきる。
いやいや、この選択肢に正解不在はあり得ず、グローバルスタンダード=世間こそが正解だと信じて止まない人々に対して、酒井女史は、確かにそういう考えもございますが、両方正解という考え方もあるのではないのですかという遠吠えを記している。そう、まさに遠吠えだ。一番届いて欲しい人々は一番遠くにいるのだから。
もちろん、身近な同輩負け犬にもエールを送る。それは世間に負けずに頑張れではなく、両方とも正解なのだから、二つの正解の間に折り合いをつけて生きていくのが楽しいですよ、というエールだ。
ここまでがこの本の面白さ基本編。
では応用編はというと、「世間」の呪縛は女性の幸せ以外にも、例えば、男らしさ、ビジネスルール、民主主義、環境保護やら複雑に絡み合って私たちの考えと行動を自然に制約しているが、その不自然さから如何に自由に生きるか、を考える上でのケーススタディとして使えるということだ。(ん、なんか犬井ヒロシの苦悩と自由のブルースっぽくなってきましたか?)
言い換えれば、「空気」を読まずにはいられない、それを読んで発言して行動することこそ人として正しい道だと信じる人たちと折り合いをつけつつ、如何に「空気」を利用して楽しい人生を送るかを考えるための最良の本だと言えるかもしれない。
♪負け犬フリーダム、負け犬フリーダム、ダダダダダダダダダダン♪でも雄の負け犬にはちょっぴり辛口なのは内緒やでえ、サンキュー!
今日の詩:「見えない綱渡り」
孤独は自然だ
結婚は作り話だ
家族は演技だ
恋愛は交通事故だ

