

国民の皆さん、
私は今日ここにこうして立ち、重大な使命を全うしようと身が引き締まる思いです。そして同時に、ご指名頂いた議会に感謝し、ご任命頂いた天皇陛下の思いを大切に受け止めています。私は麻生太郎内閣総理大臣が国民のために尽くされたその献身に感謝し、さらにこの移行期を通じて示してくださった思いやりと協力に感謝します。
これまで92代に渡り日本人が内閣総理大臣の指名と任命を頂きました。内閣総理大臣の指名及び任命はこれまで、繁栄の波が高まる中で、そして平和という穏やかな海の中で、時折、暗雲かき曇り嵐が吹きすさぶ中でも繰り返されてきました。もちろん、内閣総理大臣制度が生まれる前から日本国の歴史は綿々と続いており、それはただ単に、貴族武家にある者たちの才覚や野望によってではなく、祖先たちの願いを大切に受け継ぎ、郷土への愛を深く抱き続けたからです。これまでずっとそうでした。そして今の世代の日本人にとっても、そうでなくてはなりません。
私たちが危機の最中にあることは今や、周知のことです。この国は、世界平和のために「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を掲げていますが、その意義を今一度見直す時期に来ています。また、私たちの経済はひどく弱体化してしまった。明治維新に始まる富国強兵、そして戦後復興期における国民所得倍計画という政策の弊害ではあるが、私たちみんなが全体として、アメリカ合衆国依存からの脱却へ向けて国を準備してこなかったせいでもあります。おかげで人々は家を失い、職を失い、事業は閉ざされてしまった。私たちの年金制度は法律が優先され過ぎている。この国の学校はあまりにあちこちで管理偏重となっている。そして私たちの議論の方向は、自分達を如何に規則で縛るかが主眼となっている。その新しい証拠が、連日のようにあがってくる。
どれもこれも危機の指標として、データや統計で計れるものです。それに比べて、数字では計りにくいが同じくらい重大なのが、国民としての誇りの喪失です。日本の戦後復興は間違いだったのではないかという、いかんともしがたい憂鬱。そして次世代の国民は期待をもつこと自体が間違いではないかとい諦め。こういう誇りの喪失のことです。
今日の詩:「バレンタイン・デー」
ドロドロと
一緒に流れましょう